掛け合わせで生む進化。
PHENIX(フェニックス)さんからお声を掛けて頂いたのは昨年の春頃。
+Phenix というPHENIXがもともと得意とする本格スキーラインとは別の、都会で着られるウェアを提案するラインで僕とコラボをさせて頂けるというお話だった。
PHENIX といえば僕よりも上の世代の方が詳しいと思うが、日本三大スキーブランドの一つとしてGOLDWIN、DESCENTと共に業界で名を馳せた経緯がある。
本格的なスポーツウェアを作れるブランドだけあって、手に入る素材や使用する縫製工場などの背景もしっかりとしていて、僕のライフスタイルとも紐付けながらものづくりをしたら必ず良いものが出来ると確信した段階でお話を受けさせて頂いた。
以下、今回の企画で多大なご協力を頂いた各メンズ誌でご活躍されているエディター・ライターの小曽根宏光さんの文章を引用させて頂くので是非ご覧下さい。
「まず着目したのは”素材”。それを軸にして、都市と自然を横断する新しいライフスタイルのための服を考案しました」
制約や固定観念にとらわれず、自由にディレクションしてほしい」。今回の別注コレクションにあたって、〈+phenix〉は高田氏にそう伝えました。日本国内のみならず、世界中から注目される氏のセンスを、限りなく純粋な形で発揮してほしかったためです。ブランドの歴史やものづくり、フィロソフィーを丹念にひもといた結果、高田氏が自らのコレクションの軸として見出したのが”素材”でした。
「僕らしさを活かしたコレクションにして欲しいと言って頂いたので、まずは”今、自分が何を着たいか”ということを改めて見つめ直すところから始めました。
海の近くに住み、休日にはアウトドアやキャンプへも出かけ、でも毎日のように都会でも活動している。
そんな生活を送る僕の目線から〈+phenix〉を見たとき、最も魅力的に映ったのが素材使いだったのです。なかでも最初に着目したのが「GORE-TEX INFINIUM™️プロダクトシリーズ」でした。
スポーツウェアの定番としてお馴染みですが、その仕立てには高い技術が必要で、ごく限られたブランドしか使いこなせないのです。
〈+phenix〉は厳選したファクトリーで生産を行うことにより、非常に高いレベルでGORE-TEX INFINIUM™️プロダクトシリーズを製作してきました。その経験値を活かせば、大人のエレガンスとスポーツウェアの快適さを理想的なレベルで両立できるのでは、と考えたのです。
さらに僕のコレクションではMADE IN JAPANにこだわりました。クオリティを突き詰めることがその目的です。
「スポーツ素材とミリタリーのミックスによって大人の新しいスタンダードを目指しました」
「GORE-TEX INFINIUM™️プロダクトシリーズ」は、防水性よりも”快適さ”を重視し、防風・保温・透湿・軽量といった各種機能性をバランスよく兼備しているのが特徴です。当コレクションのキーワードである「Mix, Match and Evolve」を表現するのに最適な素材といえるでしょう。
「軽くてもハリがあり、上質な風合いを備えているところが『GORE-TEX INFINIUM™️プロダクトシリーズ』の魅力。それを活かしてどんなアイテムを作ろうか……と思案した末、ミリタリーを掛け合わせるアイデアに至りました。
今回はM-65型ジャケットとモッズコートを製作。僕が主軸とするドレスクロージングの世界でも古くからの大定番で、スーツやジャケットにも合わせられる汎用性の高いアイテムです。モダンなライフスタイルのために生まれた『GORE-TEX INFINIUM™️プロダクトシリーズ』、それを形にする〈+phenix〉の技術力、そしてミリタリーの名作を掛け合わせることで、都市と自然を横断する大人にとって理想的なタウンウェアを完成させることができました」
さらに、アウターとセットアップで着られる同素材のパンツも製作。これも高田氏お気に入りの出来ばえとなりました。
「ドレスパンツのシルエットを取り入れているのが大きな特徴です。腰周りにはプリーツを配し、自然なテーパードラインに設定しました。GORE-TEX INFINIUM™️プロダクトシリーズでドレスシルエットのパンツというのは、ありそうでなかったアイテムだと思います。ウエストはクライミングパンツなどに用いられるウェビングベルト仕様。快適さを叶えると同時に、アクセントとしての効果も狙っています」
高田氏が着目したふたつめの素材が、「COURDURA®︎ナイロン」。米国インビスタ社が手がける高機能素材で、軽量さと耐久性の両立が特色です。今回のコレクションでは、それをジャージー編みにしたセットアップを提案。
「やはり〈phenix〉の起源はスポーツウェアですので、その代表的アイテムであるジャージーも作りたかったのです。とはいえアスレチック用ではなく、あくまで街着として活用できるようデザインしました。
トップスは、アメリカの「ECWCS」をモチーフにとっています。Extended Cold Weather Clothing System(拡張式寒冷地被服システム)とよばれる米国軍のミリタリーウェアで、複数のアイテムをレイヤードして極寒地帯での活動に対応するシステムです。その一部であるスタンドカラージャケットをイメージしたジャージートップスを作りました。
いっぽうパンツは、GORE-TEX INFINIUM™️プロダクトシリーズのものと同様にドレスパンツのシルエットを採用しています。セットアップで着ても上品な街着として成立しますし、ミリタリー繋がりということでGORE-TEX INFINIUM™️プロダクトシリーズのアウターとレイヤードしてもいい。ハリ感のあるCOURDURA®︎ナイロンの採用によってシャキッとした立体感を獲得しているのも特徴で、大人のベーシックウェアとも好相性です。さまざまなミックス&マッチを楽しんでいただけると思います」
スポーツテイストを取り入れたタウンウェアは、いまやファッションのスタンダードになりつつあります。とはいえ、大人が安心して着られるものはまだ数少ない。エレガンスとハイクオリティを追求してきた高田氏と〈+phenix〉の出会いによって、これまでになかったアーバンアウトドアの形が実現しました。
と…まあ書き手が違うとこうも素敵な文章になるのかと原稿を見た時に驚いた。さすがプロ、僕が言いたいこと、お伝えしたいことをバッチリまとめて下さった。
また著名人の方々の写真も多く手掛ける恩田拓治さんに今回の素晴らしい撮影を手掛けて頂いた。
僕もファッションのプロの名に恥じない、自信のあるコレクションが完成出来たと思う。
是非ご覧下さい。