イタリアの展示会での動向。

イタリアの展示会での動向。

3年ぶりのヨーロッパ出張。ピッティも3年ぶり。

Co-vidの影響で日本は本当に鎖国状態だったと思う。

ファッションも同じで、世界中からの生の情報が途絶えてSNSやYouTubeを始めとする間接的で簡易的な無料な情報が溢れることで今までの商流が変わってしまった。個人個人が好きなものを発信してそこにファンが集まって作られる、コミュニティファッション(勝手に僕が呼んでます)が主流になってきたのは周知の通り。

僕はそれが間違っているとは思わないし、むしろファッション全体の明確な動向や傾向というものが必要不可欠な情報では無くなり、曖昧で振り幅がある方が現代に求められているのだと思う。また、お金を払ってでも欲しいと思えるファッションの情報というものが減ってしまっいるとも感じる。

ただ、もちろん世の中には動向や傾向、いわゆるトレンドは存在していて、それを頭から無視するのでは無く「はいはい、今年はこんな感じなんでしょ、でも僕はこれ好きだから着てますよ。」と考えられることが昔からの自己を表現する上でのファッションの本質だし、みんなの憧れのスタイルを作る要素。

でも極端に傾向や本当の情報を知らずに好きなものだけを語るのはとってもナンセンスなので、適度に知って適度に取り入れたり外したりしてみる、これが僕の考える一番の洋服の楽しみ方。

数年前、10数年前に買ったものが突然一軍に躍り出ることなんか良くあることで、傾向や動向を知ると自分のワードローブを見直すのも楽しくなる。

だから個人的に感じた傾向や動向を皆様にお伝えしようと思って書かせて頂きます。

前置きが長くてすいません。

 

今回のピッティ、ミラノでもそうなんだけれど、基本的にはファッションの展示会なので、思いっきりビジネススタイルの提案や新しい動向はほとんど無いのでご了承を…

いわゆるクラシコイタリア系のブランドでピッティに出展していたのはBelvest、Stile Latino、 Sartorioくらいだろうか。ドレスブランドの出展が本当に減ってしまっていたのが今回のPitti Uomoの第一印象。ただ、ニットブランドがジャケットを提案したりカジュアルブランドがジャケットを作っていたりするのは様々なブースで見られたので、単純に専業ブランドが減って、トータルで提案出来るブランドの出展が残っている印象。

また、ピッティに出展しなくともミラノでお客さんを呼べば良いと考えるブランドも増えていて、今まで出展していたブランドが数多く退いたのも印象的。

イタリアの展示会全体の傾向としては、「現代的なエレガンススポーツが帰ってきた」というのが僕の率直な感想。

コロナ前のラギットでタフなアメリカナイズされた、古着的な着こなし、ダメージ、エイジングみたいなものは減っていて、ベージュや白、ライトグレーで構成されるクリーンで知的な大人ヨーロッパ的なスタイルを久しぶりに見ることが出来た。(ミラノの街中ではWPストアをはじめアメリカ古着を扱ったりイタリアンアメリカン的なお店はまだまだ多い)

シルエットやディテールはもちろん当時のヨーロッパエレガンスからはアップデートされて今日的だけれども、上質な素材、70-80’sパターン、アーバンカントリー、イタリアンチェックみたいなものが今回、様々なブランドの展示会を見た僕の中のキーワード。

 

色から始めると、グレーやベージュをベースにオレンジ、ボルドー、イエロー、ブルーグリーン、パープルなどの綺麗な秋冬の自然な色を散らす差し色使いや、それぞれのキーカラーをベースにグラデーションやアンサンブル的色合わせでスタイリングをする、同系色で馴染ませる合わせがトピックス。

素材では、親子コーデュロイ、ベルベットなどのファンシーコットン系、カセンティーノ(別名ナッピングウール)、アルパカなど、表面の起毛や凹凸で変化を付けて表情を楽しむ。

 

ニットもミッソーニ的な幾何学?変形ボーダーやヘキサゴンパターン、アーガイル、ボーダー、メランジなどなど、とにかく表面に素材感、豊かな表情、というのが特徴的。カシミアも表面も掻いて起毛感を強く出したりとフラットなハイゲージみたいな定番とは一線を画すラインナップ。

パンツのシルエットは変わらず、イージー系が少し縮小したかな?くらい。フレアシルエットのパンツもチラホラ見られたけれど、モーダやレディースのように主流にはならないだろう。

エレガントなテーラードトラウザーズを履いてトップスは表情のあるスポーツエレガンス、足元はブーツ。(マウンテンブーツくらいスポーティに振るのも○)

という感じでざっと解説をさせて頂いた。

僕のYouTubeチャンネルでよりわかりやすく動画で解説している回が公開されるので、そちらも見て欲しい。

動画撮りすぎて今までよりも写真少なめな今回の出張。

二刀流は難しいにしてもちょっと反省です…