【Pelle Morbida】10周年記念モデル
2022年に日本を代表するバッグブランド「Pelle Morbida」がブランド設立10周年を迎えた。
とても光栄な事に10周年を記念した企画として、葉加瀬太郎さん・干場義雅さん・福島雄介さんと僕の4人でコラボレーションバッグを作ろうとお声を掛けて頂いた。
そもそも僕が「Pelle Morbida」を知ったきっかけやお仕事のきっかけを話しておきたい…
僕がバイヤーとしてオフィスに異動してすぐなので、2013年の9月か10月?だっただろうか。
MEN’S EXさんで当時まだデビューしたばかりの新ブランド「Pelle Morbida (ペッレモルビダ)」が大きく特集されたことがあった。僕はバイヤーデビューの最初の取材として中村さん・無藤さん・西口さんと共に誌面に載る事になり、赤いクラッチを持って恥ずかしながらシャッター音を待っていると、中村さんが “Brilla (ブリッラ)はこうじゃなきゃ” と冗談半分でボタンを2つ開けていた僕のシャツのボタンをもう一つ外しイタリア男顔負けの前開き前回のセクシーキャラ「Brillaバイヤー高田」が誕生した!!
懐かしすぎる汗
そんな偶然の出来事から店舗時代はクラシック・正当も比較的好きで、BEAMS Fの生地決めにも参加していた僕の洋服路線は大きく進路を変えて爆進して行くのだけれど、僕が2021お伝えしたかったのは「Pelle Morbida」というブランドとのお付き合いの始まりで、もう10年近くも歳月が立つということだ。
という経緯を踏まえて、各々がそれぞれテーマを設けて作りましょう、となったのだ。僕もどんなバッグを作ろうかと考えるのだけれど意外にもアイデアはすぐに浮かんだ。というよりも作りたいと思っていたバッグの構想がこの企画のお話しを頂く前からあったと言う方が正しい。
僕自身、コロナ前とこの企画を頂いた2021年では使うバッグどころか生活や着る洋服まで変わってしまい、今までのようなクラッチバッグやブリーフケース、トートバッグをあまり使わなくなってしまった。
もちろん家にばかりいたわけでもないが、大きく変わったのが自転車に乗る機会が増えたり、Macを持ち歩くことが増えた事によって圧倒的に背負える鞄、バックパックの出番が多くなったのだ。
今まではテーラードジャケットやスーツを中心に着る生活だったので、両肩に背負うなんてとんでもない事だったが、ブルゾンやニットにコートみたいな軽装が増えた事でそれが変わった。
そんな自分にとっても転換期だったこともあり”大人が背負えるバックパック”というテーマは必然だったのだろう。
次にコンセプトやデザインを考えていく上で、僕の中のベースにある大好きなミリタリーものを、これまた得意な現代的にアップデートする手法で提案したいという思いがあった。
理由としては軍物ってとにかく機能性や実用性を追い求めたある種の究極の形、用途が生死に関わる物なので根本的に無駄が無い、ということが挙げられる。僕はその用途を現代に置き換えて必要な物、不必要なものを選択しながらデザインを考えた。
これは「+Phenix」とのコラボレーションでもそうなんだけれど、僕の考えの中に”究極の機能性と実用性・その場においての利便性”がミリタリーアイテムの持つ本質と美しさであるならば、”それをベースに現代生活でカッコよく機能的に”こなせたら最高だなというものがある。
良くも悪くも本物は現代の都市生活においてはオーバースペックだし、誰が持ってもカッコいいというアイテムでは無いと思っているからだ。
ここでようやく作ったバッグについて…
バックパックはWW2あたりのUS軍のものをモチーフにしている。 基本的な形に関してはアウトポケットの数や大きさ、また全体のシルエットをあまり横に広がり過ぎないようにバランスを見ながら現代的にかつ高級感が出るように修正。
素材に関しても「Pelle Morbida」が得意なシュリンクレザーとブランドコンセプトにある船旅を連想させる、帆布素材で有名なアメリカの「Sunbrella (サンブレラ) 社」の極上オックスを贅沢にコンビ使いした。
また随所に使われるパーツは全てアンティーク真鍮調に統一し、ブランドロゴが正面でこれ見よがしにならないようにサイドに移動して頂いた。(これは本当に我儘言ってすいません汗)
といった具合に僕ならではのクラシックをベースにしたアレンジで大人のバックパックが完成!!
そしてもう1型は小ぶりのショルダーポーチは日常使いにとても便利なサイズ感。と言うのもこれの元ネタはバックパック同様US軍のファーストエイドポーチ。
ファーストエイドとは本来、戦場に置いての止血剤や包帯などの緊急医療品をコンパクトに入れておくものだが、考え方としては”現代においてのファーストエイドとは”だ。僕にとって (ほとんどの方も同じだと思うが) のファーストエイドはiPhoneとコンパクトウォレット、名刺入れ、メモ帳とペン、文庫本、リップクリームやハンドクリームなどの身の回り品、そしてタブレット。これらが入るサイズで尚且つ上品見えする、という着地点を目指して作り上げた。
ショルダーストラップの着け方やフラップのバランス。素材使い・付属品はバックパック同様で2つを組み合わせても使えるようにした。そしてこれまたブランドロゴを身体に沿う側に付けて頂くという無礼をしでかしてます。
実はロゴを隠すのには意図があって、バッグはさりげなく存在感があるのが美しい、と個人的な思いがあって…なんとなく、それどこのバッグ?って人に聞かれるくらいが丁度良いと僕は考えている。
そんな我儘を10周年企画で聞いてくれる「Pelle Morbida」に多大な感謝をしつつ、2つのモデルが完成したのであった!!
WEARLNESSのインスタグラムでもコーディネート写真をいくつか投稿しているので、そちらも是非参考にして頂けると嬉しい。
そして、これからリサイクルナイロン版も発売されるのでそちらも楽しみにして頂けるともっと嬉しい。
最後に「Pelle Morbida」さん、改めて10周年おめでとうございます!