地球の色

地球の色

Watanabe’s さんと知り合ったのはこの企画がきっかけでした。

共通の知人を介してお仕事をすることになり、もともと藍染の美しさや科学系インディゴとの違いは何となく知ってはいましたがこの目で本物を経験しに徳島へ。

Watanabe’s さんの工房がある徳島県の上板町は県内を分断する日本三大暴れ川と呼ばれる吉野川の北側に位置します。

のどかで静かな場所、畑に囲まれた場所に工房はあります。

 


工房内は藍を発酵させた蒅や染色液の酵素など、様々な臭いが混じり合った独特のアルカリ臭が漂います。

そこで渡邉さんを含むチームWatanabe’s がお仕事をされています。

渡邉さんは本来、徳島のご出身ではないのですが、サラリーマン時代に藍染の素晴らしさに感動して徳島に移住をしてしまったとのこと。

かつては”BUAISOU.”というユニットで活動されていて国内はおろか、世界から注目される存在でした。

その後、藍の本質、かつては庶民に愛された生活の中に自然に溶け込んだ姿を求めて脱退をされます。

もはや研究者と呼んでも過言ではない程、藍に没頭し今まで伝統工芸という壁によって阻まれた極端に少ないエビデンスを探して日々活動されています。

渡邉さんは、一般的なインディゴデニムなどに用いられるロープ染色と呼ばれる石油、石炭を利用した科学染色とは異なり、徳島県名産の金時豚の糞尿から土、肥料を育て、蓼藍を栽培・収穫、藍の葉の乾燥・発酵させる全て天然の原料を自ら管理して染め上げられます。


藍を発酵させて生まれた蒅(スクモ)と呼ばれる藍の色素が詰まった染料を木灰汁(モクアク)と呼ばれる高温で焼却した木の灰を水と混ぜ合わせ、灰が沈殿した後に生まれるアルカリ性の水と小麦麹を養分にして二度目の発酵をさせます。

 

そうして出来上がった染色液にスウェットを漬け込み、空気を抜き浸します。

ある程度の時間浸したのちに取り出し空気に触れさせると酵素が酸素と化学反応を起こしスウェットに色が定着するこの工程を何度も繰り返します。

特に今回のスウェットは薄く色を塗り重ねるため、染色するまでに1週間程の時間をかけて何度も。

また、染色液も出来たての新しい液は色が濃く入り過ぎてしまうので、時間をかけて育てた浅く色が入る染色液を選びます。

薄い色を何度もレイヤードすることで、色ムラの無い美しい染め上がりになるのです。

 

藍の色は地球の色。

渡邉さんはこんな言葉を使われます。唯一酸素に覆われた地球でしか起こらない、青い惑星の自然の営みの交点が生んだ色はまさに地球の色。

染色液の中の酵素の働きが弱くなると、色が染まらなくなります。そうして役目を終えた染色液は最後は土に還ります。そしてまた新しい藍の栽培、土造りへ戻るのです。

僕はこの自然の中の循環にとてつもない美しさと衝撃を受けました。そして感動して涙が出そうになりました。僕が新しく知った藍は生きていたのです。

 

素晴らしい取り組みが出来て嬉しく思っています。

是非皆様にもお伝え出来ればと思い文字にしました。

 

髙田