恋の行方
僕とCINQUANTA(チンクアンタ)の出会いは2016年、もう7年も前の事だ。
と言っても知っていたのは僕が丸の内のビームスハウスでアルバイトを始めた2004年だからもう19年も経つ事になる。
当時はバルスタリーノ型と言って、イタリアのバルスター社が作るボタンフロントのリブ付きレザーブルゾンをバルスター社よりも安く作れる事で仕入れをされていたと記憶している。それからピッグスキンのトートバッグや色々と器用にレザーのアイテムを取り扱っていた。
2016年にふとした事からホースハイドのダブルライダースを購入して、改めて良さに気付いて…存在は知っていたけど初めて喋ったのはこの時、みたいなそんな存在。
改めて考えて思った事だけれど、レザーのアイテムって本当に便利。なぜなら僕たち洋服好きにとって日本に四季があることはとても素晴らしい事だけれど、季節の変わり目だけはどうにも苦手。所謂合物的な素材やアイテムを殆ど持ってなくて、毎シーズン季節の変わり目に”あー何着よう!?”と頭を悩ませる…で次のシーズンは季節の変わり目様に何か買おう!って思うけれど考えているうちに季節が変わってて結局買わないと。これ結構共感して下さる方多いんじゃ無いかな?と思ってます。
で、この時期何着てたっけなと自分のインスタの過去を振り返ってみると(コーディネート備忘録的な感じ)季節の変わり目は必ずと言っていいほど、CINQUANTAのライダースを着ていた衝撃!
作りもいいし、ライダースなのに袖付けや襟の雰囲気がドレスのジャケットに近い立体感とこのなんとも言えない絶妙な軽い着感、そしてパーツ使いも上手でボタンやジップなど細かい気配りも出来てるではないか。。。
この時に普通に喋る友達から気になる存在へと変わっていったのは言うまでもなく…
かくして僕の中で気になる存在へと変貌を遂げたCINQUANTAは毎シーズンチェックする片想いな存在に変わり…(当時はBEAMS Fの買い付けだったので BRILLAバイヤーの僕は手を出さない…涙)
ホースハイドも柔らかく味が出てきた最高のタイミングで、そして僕の独立を気に思い切って告白したのだ。
「僕を季節の狭間から救って下さい‼︎」
と…
「もっとジャケットとしてしっかりした形にしたいんです、襟の登りやボタン位置、着丈やボディバランス。
何より普段、仕立ての良いジャケットを着ている方々にも満足して頂けるジャケットにしたいんです‼︎」
いやいや、レザー製品のファクトリーにテーラードを押し付けるのは無理があるでしょう、と最初は思ったけれど、好きが過ぎてイタリアまで追いかけたんですよ。
そこで見たのはまたも衝撃‼︎
いまだに手で裁断されるレザー、テーラーだった現社長ファブリツィオさんの父が引くパターン、人見知りの兄がアトリエに足を運んだ事をとっても喜んでくれた事、圧倒的なクオリティコントロール…(YouTubeでも紹介してるので是非ご覧下さい!!)
そしてそんな彼らが毎食肉続きで疲れたであろう僕たちを労って、内陸のトスカーナで魚料理の名店を紹介してくれた事…
僕の告白を受け入れてくれて、このジャケットの門出をみんなで祝ってくれた様な…そんな素晴らしい関係性を築けた。人と人の繋がり、そして生まれた笑顔が素晴らしい仕事と洋服を作るんだと改めて感じた。
好きになって良かった。
この告白が成功するかは今回のジャケットの売れ行き次第!!笑
少量なのでお早めに〜
高田